がんの脳への転移と
日常生活

転移性脳腫瘍(てんいせいのうしゅよう)の診断と治療

治療法

抗がん剤治療

転移性脳腫瘍に対する抗がん剤治療は、手術や放射線治療後の補助療法や脳転移による症状がない時に適応になります。しかし全身にがんの転移があり、がんの進行が心配される場合は、手術や放射線治療に先行して抗がん剤治療が行われることもあります。

転移性のがんに使われる抗がん剤は、原発巣に対して使用する抗がん剤が使われます。言い換えれば、原発巣によって転移性脳腫瘍に使用する抗がん剤が異なります。また、抗がん剤治療は全身治療ですが、「血液脳関門」のしくみ(患者さんが増えている背景:血液脳関門を参照)により、抗がん剤が脳の病巣まで届きにくい現状があります。そのため、転移性脳腫瘍に対して抗がん剤治療は効果が得られにくい治療法でした。

しかしながら、近年の抗がん剤の開発により、原発巣(非小細胞肺がん、特に腺がんなど)によっては、転移性脳腫瘍にも効果が認められる薬(分子標的治療薬)が登場し、有効な治療法の一つとして選択されるようになってきました。

分子標的治療薬(ぶんしひょうてきちりょうやく)とは

がん細胞に存在する特殊な物質をピンポイントで攻撃する抗がん剤です。