がんの脳への転移と
日常生活

転移性脳腫瘍(てんいせいのうしゅよう)の診断と治療

治療法

症状緩和の治療

転移性脳腫瘍では腫瘍の周囲にむくみ(脳浮腫)が生じます。そのため転移した部位では、腫瘍とむくみで周りの組織を圧迫し、頭痛や吐き気・嘔吐などの症状が出現します(転移性脳腫瘍の主な症状を参照)。また、けいれん発作(てんかん発作)もしばしば起こります。これらの症状は、患者さんにとって辛い症状であるばかりか、脳にダメージを与え、治療にも影響を及ぼしますので、 これらの症状をコントロールすることも大切になります。

■ 脳浮腫(頭蓋内圧亢進)に対する治療

転移性脳腫瘍では、高頻度に脳浮腫が生じます。転移性脳腫瘍の主な症状で説明しましたように、脳浮腫はその周りの脳を圧迫し、辛い症状や生命に危険が及ぶような症状が発生します。これに対しては、副腎皮質ホルモン(ステロイド)薬と浸透圧利尿薬での治療を行います。これは、手術や放射線治療などの積極的治療と併用して行われることがありますが、積極的治療ができない場合に症状緩和として行われることもあります。

■ けいれん発作(てんかん発作)に対する治療

けいれん発作が起きてしまった場合には、再発予防のために抗てんかん薬での治療が行われます。既往のない患者さんには、一般的には、抗てんかん薬の治療は行われません。なお、抗てんかん薬の中には、抗がん剤の効果を落としてしまうものもありますので、注意が必要な場合があります。