抗がん剤治療と口腔粘膜炎
・口腔乾燥

対症療法とケア
継続することが大切です

痛みをコントロールする…症状に応じた鎮痛薬を使用します

痛みがあると食事がとれずに栄養不足となり、口腔粘膜炎がなかなかよくはなりません。そのため積極的に痛み止めの処方薬を使うことが推奨されます。口腔粘膜炎に対しては、通常の痛み止め(解熱鎮痛薬)が良く効きますが、通常の痛み止めでは効果がないくらい痛みが強くなる場合も多く、その時は癌疼痛治療剤(具体的な薬剤名を知りたい場合は静岡がんセンターのサイトをご覧下さい)などの医療用麻薬を追加して使うことが推奨されています。

粘膜炎の程度と痛みのコントロール

粘膜炎:軽い

  • 口の中がざらざら
  • のどに違和感

うがい

  • 1日8回のうがいが目標
  • クチュクチュうがい
  • 水(ぬるま湯)や生理食塩水、低刺激の洗口液でのうがい

粘膜炎:やや強い

  • 口の中がヒリヒリ痛い
  • 飲み込むと痛い
  • 食事はできる

うがい+痛み止め

  • 通常の痛み止めを1日3回服用開始
  • 場合により、即効性癌疼痛治療剤(具体的な薬剤名を知りたい場合は静岡がんセンターのサイトをご覧下さい)を頓服で使用

粘膜炎:強い

  • 口の中が痛くて話せない
  • 飲み込むと痛い
  • 咀嚼(そしゃく)がしにくい

うがい+痛み止め+医療用麻薬

  • 通常の痛み止めと癌疼痛治療剤(具体的な薬剤名を知りたい場合は静岡がんセンターのサイトをご覧下さい)の両方を決められた時間に服用

痛み止めの使い方

口腔粘膜炎の痛みは、口を動かしたり、食べ物や飲み物が口に入ったりすることが刺激となり痛みが強くなります。食事の30~60分位前に痛み止めを飲むことで、食事中の痛みが軽減します。また、うがい薬に局所麻酔薬を混ぜて使用することで、粘膜を短時間麻痺させて食事をとる方法もあります。使用にあたっては、必ず医療者にご相談ください。

口腔粘膜保護材について

口腔粘膜炎による「痛み」を和らげる方法は、内服薬やうがい薬だけではありません。2018年から歯科医師の管理のもとで、抗がん剤や放射線治療時の口腔粘膜炎によって生じる痛みを緩和するために「創傷被覆保護材(そうしょうひふくほござい)」が使用できるようになりました。

この保護材は、非吸収性の液体であり、口腔粘膜に塗布すると口腔粘膜の水分を吸収してゲル状になり、バリアとなる膜を形成するものです。薬効成分は入っておらず、口腔粘膜の痛みのある患部を透明な薄い膜で覆うことで刺激を弱め、物理的に痛みを和らげることが期待できます。
使用後、数分以内にゲル化して、その効果は数時間持続するとされています。

この被覆保護材を健康保険で使用するには、がん治療医と連携した歯科医師のもとで、適切な口腔管理が行われていることが必要になります。医科歯科連携を推奨している医師、歯科医師の指導とアドバイスを受けるようにしましょう。