抗がん剤治療と口腔粘膜炎
・口腔乾燥
対症療法とケア
継続することが大切です
口の中を潤(うるお)す…保湿ケアをしましょう
抗がん剤の影響で唾液(だえき)の分泌量が少なくなり、口が乾きやすくなります。潤いが不足していると、口の粘膜に傷がつきやすくなります。特に入れ歯を使用している場合は注意が必要です(入れ歯の洗い方と保管方法を参照)。また、味がわかりにくくなったり、飲み込みにくくなったりした場合は、口の中を潤すためこまめに水を含んだり、保湿ケアをするとよいでしょう。
口腔乾燥がある場合の口腔ケア
口腔乾燥がある場合は、ケアを行う前に口唇や口角の保湿をしてから歯みがきを行いましょう。歯みがき前に水を口に含み、口の中を湿らせることで、乾燥してこびりついた汚れが落ちやすくなります。また歯みがき後には、再度保湿剤を使用して乾燥予防に努めましょう。
軟膏タイプの保湿剤のつけ方
- 口の角を塗ります。この時は口を大きく開けず、半開きの状態で塗りましょう(写真1、2)。
- 唇のやや内側までしっかりと塗りましょう(写真3)。
- 舌の上やほほの内側も塗りましょう。
保湿剤には医師から処方される保湿剤と市販の保湿剤があります。
医師から処方があった場合はそれを使用しますが、味に対する好みがあるので、続けることが辛くないようご自分で使用感の良いものを使用してケアをすることが大切です。
市販の保湿剤の中には、しみないように成分を調整したものもあります。
その他の対策として、可能であれば寝ている時はマスクを装着したり、唾液腺のマッサージ(両耳の下のところ)をしたりすると症状をやわらげることがあります。なお、水分を取る量が少なくても口腔乾燥は起こります。
痛みが強い場合は、痛みのコントロール(痛みをコントロールするを参照)をしながら、水分摂取も心がけるとよいでしょう。
唾液の豆知識
ここで、意外と知られていない唾液の働きについてまとめておきましょう。
●唾液の働き①;唾液と食事
唾液は食物に適度な湿潤を与え、食物のパサパサ感をやわらげたり、デンプンを消化したりする働きがあります。また、味を味蕾(みらい;味を感じる細胞)に届ける作用があります。
●唾液の働き②;からだや歯を守る
口の中の粘膜に被膜を形成し、表面を滑らかにし、粘膜が傷つきにくいようにしています。また、歯の表面や口腔内を洗い流して口腔内をきれいにしたり、口の中の酸性度を弱アルカリ性に維持したりして、歯が溶けないように口の中と歯を守っています。唾液には多少の殺菌・消毒作用があるとも言われています。
だから口が乾くと・・・
「飲み込みづらい」、「味がしない」、「口の中がべたべたする」、「しゃべりづらい」、「ヒリヒリ痛い」、「むし歯になりやすくなる」、「口が臭う」、などの困ったことが起きます。
「唾液」って少し汚いイメージがありますが、大切ですね。